kuyaさんがつけた評価
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「愛の在り処をさがせ!」の続編。こちらを読まないと訳はわからないです。感動もできないから、是非に前編を読んでからこちらを。
シモンの心の成長、葵の覚悟により掴んだ幸せが描かれています。母親からの妄執による盲愛によってトラウマが植え付けられているシモン。義務に縛られた人生に存在しなかった温かな愛。だから、好きや愛が解らない。大事だと思う者の守り方は、世界から切り離すか閉じ込めるか。母親のしたことと自分を重ねる。既にここで成長している。鬼子母神のように、愛情と妄執が表裏一体。そこに、どこまでも慈愛を向けてくれる葵がいて、俯瞰してみられるようになる。公人と私人は別ものではなく共存させることができたのは、葵の献身があったから。互いの価値観と見ているものが異なっていたため、理解及ばず傷つけ合うことはあったけれど、ちゃんと紡ぐことができた。愛と情の併存。素敵でしたよ。愛しい、可愛いがストンと落ちたら止められない。義務ではない交わりの昂り、すごくよく表れています。愛を切り離したシモン、愛を求めた葵が成長して、辿り着いた先に今がある。深いなぁ。葛藤と回復を文字で表現する素晴らしさよ。すごいです。しかし、身体が弱く短命な性モザイクがこんなに子どもを産めるなんて…澄也の功績すごいね。感動作品でした。(閉じる)
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