好きな気持ちを抱き続けることの不毛さに疲れて、去ることにしたヒロイン。
男性の方も想像のつきやすいリアクションで描写され、ある日を境に彼女に向き合うことに。
ハーレクインならずとも、これは世のロマコメの一大分野にして王道。
そして、秘
書とボスの組み合わせがHQの定番商品。
楽しくて切なくて、彼が自分で作ってた壁を乗り越えてー。
「気合い入れすぎの自分がいたたまれない」というところがツボってしまった。その本心を隠し、表面を取り繕って、彼を冷静に焚き付けるやり取りは、このストーリーのコメディ水準の高さを物語る。
そして、彼の気持ちを引き出せないと気落ちしながらの、彼の近くからの離脱は、「私はこれから何に幸せを見出だして生きていけばいいんだろうー。」の台詞に、苦楽を共にして仕事を大きく育ててきたヒロインの辛い決心が感じ取れて、読んでるこちらも寂しく切なくなった。
ストーリーのテンポといい、台詞の回しかたといい、読んでいると片想いの胸中にどんどん入り込み、ドキドキがよく伝わる。彼の言動も展開はオーソドックスなのに、なぜかストーリー中のエピソードとしては巧みに効いている。
楽しくてちょっとしんみりの一冊、存分にロマンスのエッセンスを見させてもらった。
私は花津先生の絵に、私の不得意な丸みを感じたりするのだが、屈指の内面描写を見て、むしろストーリーに彼の愛の気付きのシーンから嫌味が無くなることにも繋がり、却って二人の人となりに愛着がわいた。
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