スピンオフ合わせて320頁(目次や後付け除く)。幼馴染関係の過渡期みたいな時期到来。周りは騒ぐが当人たちはずっと幼馴染状態の仲良しのまま高校生になった。
ワッコちゃんと吉祥寺くんが強烈な脇役。そしてお兄さんや学校内の上級生下級生としてはス
パイス的にかかわってくる。いってみれば曲者揃いでストーリーが回っていって、みんなが幼馴染関係というものに穏やかならざる刺激を与えてくれるのだ。そういうところがありそうで、でもそうも既視感のないエピソードになっている。わたしがもしも主人公の立場なら義くん以外は考えられないのだが、幼馴染というものは少女漫画では大体微妙にかっこいい人が多い割には主人公は贅沢なものである。そこに非現実味があるだけ、主人公の、自分で自分がわからなくなる、とでもいうような迷子の猫状態がちょっと読み手としては距離を置いて眺める話、我が事のような追体験気分は薄れる。絵は圧倒的に安定。コマわりの技術?が高くて読みやすい。少女漫画はこれ、という感じで読みやすい。昭和55年56年のララ掲載。
現在から30年以上前となるからなのか、義くん以外の男性は、これは少女漫画の登場人物であるのに誰もがぞんざいでつっけんどんでかなりデリカシーに欠ける印象。かといってビジュアルのほうは大人っぽいため、子どもっぽい言動とのギャップはある。当時はきっとあれで普通だったかもしれない。絵のはやりすたりから言えば、当時の絵の感じが本作にはよく出ている。本書の直前に読んだ「星のハーモニー」ほどではないにせよ昭和の時代性を考慮しても、男性キャラ全般漫画の中にしか居ないよ、という感じがしてしまう。
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