1940年の北村透谷賞次席(受賞は萩原朔太郎『帰郷者』)に選ばれたこの作品集から太宰の中期が始まります。女性の独白体を使った表題作の「女生徒」は川端康成に絶賛されました。他に「満願」、「姥捨」、「I can speak」、「富嶽百景」、「懶惰の歌留多」、「黄金風景」の7編を初刊本の順に収録。太宰の優しさがにじみ出ている本として愛されています。『女生徒』(砂子屋書房、1939年7月20日発行、日本近代文学館、1992年6月19日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。
目次:
満願
女生徒
I can speak
富嶽百景
懶惰の歌留多
姥捨
黄金風景
著者について:
1909年6月、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東京帝国大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞候補になる。1936年第一創作集『晩年』刊行。以後、「女生徒」「斜陽」「人間失格」等著作多数。1948年6月没。