甲府市内で幼い姉妹二人の殺害事件が発生。盗みの形跡はなく、母親は消息不明。マスコミは「虐待の末の殺人では」と報道を過熱させていく。日本新報甲府支局のサツ回り担当の南は、この事件を本社栄転のチャンスにしようと取材を続けていた。だが、殺害された姉妹の祖父が度重なるマスコミの取材攻勢によって追いつめられていく。世間のムードは母親叩きからマスコミ叩きへと一変。粘り強く取材を続けていた南は、警察内部からのリークで犯人につながる重要な情報を掴む。だがそこには、大きな罠が待ち受けていた――。果たして真相はどこにあるのか? 報道の使命とは何か? 現代社会に大きな問いを投げかける、渾身の事件小説。