落ちついた文のスタイル、というか今風ではない表現から40過ぎの作家さんかと思ったら、2013年に「やたらウロウロめったらドキドキ」で京都アニメーション大賞小説部門奨励賞を受賞した1988年生まれの若い作家さんでした。「皆が行くから大学に進学
して、生活のために就職して…」という若者の心理は、今も昔も変わりなく「無関心、無気力、興味もなし、取りあえず一流大学に行って一流企業に就職する」というのは日本人の特徴だと思います。読みながら「そうそう」と納得しっぱなしでした。すでに就職先が決まっている藤堂が同級生の菅野の就活に付き合ってお茶屋さんと謎の市松に出会い、神社の蔵の中へと不思議な世界に引き込まれます。童顔の藤堂がお茶屋さんで出会った年下の女の子に一目惚れする描写は「若い人」が書いてるという感じが出ていました。作者に興味を持ったので他の作品も読んでみたいと思います。
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