【第43回大佛次郎賞受賞作】もう二度と帰れない、遠きふるさと。学生、商人、エンジニア、それぞれの人生を抱えた男たちの運命は「戦争」によって引き裂かれた――。戦争小説をライフワークとして書く著者が、「いまこそ読んでほしい」との覚悟を持って書いた反戦小説集。戦後の闇市で、家を失くした帰還兵と娼婦が出会う「帰郷」、ニューギニアで高射砲の修理にあたる職工を主人公にした「鉄の沈黙」、開業直後の後楽園ゆうえんちを舞台に、戦争の後ろ姿を描く「夜の遊園地」、南方戦線の生き残り兵の戦後の生き方を見つめる「金鵄のもとに」など、全6編。