猫又のシロがある日に訪れた居酒屋『むじな』では、いつもあるべきはずの魚が一尾も無かった。
女将の話ではそれは、おいてけ掘に棲む魚たちが居なくなったのが原因というのだが。
……『おいてけ掘』
尾裂狐の結婚式に出席した猫又のシロと古烏のゴンベ。華やかな宴の途中で、花嫁のハナは恐ろしげな天邪鬼に姿を変えた。
……『狐の嫁入り』
いつもの通りに空き家の縁側で寝ている、猫又のシロの頭へと飛んできた天目茶碗。
シロはそれを犬神の小太郎に譲るのだが、後日に想像もしていなかった事態が彼の同居人の身に起こる。
……『天目茶碗』
昭和の下町・九十九坂を舞台に巻き起こる妖怪たちの騒動を描いた、上記作を含む他七篇の短編集。巻末には登場する妖怪たちの解説『妖怪袋』も収録しております。