面白いストーリーで単独でもそれぞれ楽しめるが、セットだと三冊ドッキング効果でより楽しみが膨らむ。
息子たちが遺言に振回され遺言者の遺志に沿った行動を取るさまが、兄弟集結に向かっての個々の家族作りの助走となっており、小さな幸福の単位の達成が
大きな幸福に繋がる感じだ。
一作目、息子その一は、財産が欲しくて結婚する訳じゃないとキッパリと語り、ヒロインへの好感を表現して最後までよく惹き付けられるストーリー。星5.0。
二作目、息子その二は、HQあるあるの、別れた彼女の真意を知らずに居た話。昔の因縁が明らかになるくだりの不可欠要素が終盤雪崩打って入り、息子その二の心の動きの描写が足りなかったように思えた。私はHQにはそこまで求めていないベッドシーンの登場度合いが冒頭から激しく、そして言葉のキツさもあって、正直星はその時点3.5辺り。
お金持ちの嫌らしさがよく出ている。急転直下の解決へ転がり出すお母様のドラマが、その嫌らしさを打ち破る突破の決定力。星プラス調整、二作目は星最終4.0。
三作目は、ヒロインのキャラ難解。しかしアリスン先生の描かれるヒロインの顔は、この三作目の設定の年齢層とアンバランスな性格とに最も納得感がある。ただ、ストーリーは、ある日牢獄のような日々から解放してくれる一種の王子様もの。展開は物足りない。星は4.0未満の感じ。
大切に扱ってきたヒロインから請われ、一線を越える場面以降課題云々まで、単なる通過儀礼としての恋のレッスンという位置付けに終わらなくなる展開がかなり胸に来た。課題クリアを脇におく潔さがたまらない。そこで星は最終4.5へ。
人物以外のところの描写が引き込まれる味わいがあり、過ぎた頁を何度も見に帰りたくなる。
視点の角度(アングル)も素晴らしい。
息子たちの父親氏の凄さが、妙に現実離れしているが、それをいっても始まらないほど、少ない登場ながら濃いキャラでユニーク。
受け取った遺産の行方は、筋運びに織込まれてきたというのに、三作目最後に総括場面だなんて蛇足に感じられた。二作目の終盤の詰め込み感と三作目の内容に比しての頁水増し感とが、ここで調整できたら良かったのに、と感じた。
ところで、課題クリアした者がたった一人だった場合、どうなっていたんだろうか?
すると、誰にも会えないのにクリアするため一人頑張ったことになる。幸せならばそれでいいか知れないがー。
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