夫とは別に暮らしているのであって、未亡人であると誤解されているだけだと言うヒロインの、視線の遠さ。どや顔でもなく、勝ち誇った表情でもない、残念なことに別居中の夫はぴんぴんしてますわ、のシーンが1巻目のなかで最も、展開これからどうなるのかとの
面白さが開花していると思う。
幼な過ぎて女として見られていなかったのが、振り向かせる事に成功。痛快。夫のお金ではないのが良い。
今は心を入れ替えている夫も、目撃者たる妻の不信感を覆すのは大変だ。
細部まで神経の行き届いた描き込まれ方。領地や室内、馬車、乗馬の光景等に見事な時代性が溢れている。好みだとか、今風だとかは私がHQに求めるクオリティに関係ない。
HQの中には価格に値しない作品も多い。線が安定しない白くスカスカの絵を描いている漫画家さんは、こうしたベテラン芸の影響が欲しい。ただ、作品としてそこそこ水準あるのに、ヒロインの相手役がクズ男とか非難され星1つというのが結構あって気の毒なのも確か。星1つがふさわしい作品は膨大なシーモアさん全体の収録の中に他に沢山あるのに。悪い男が理想の男でないと星が高くないのは本当に不思議。ヒロインが彼を好きかどうか、だけと思うのだ。
レビューアーさんの間で評判の宜しくない、本編の漫画家とは別の方の手になる表紙の紙版を持っているが、作品に偏見を持たせず、いいのではないかと思うことが私はある。(斎藤昌子さん担当)
追記)
最初のレビューアーの方のコメントを読み流してしまったようで、この作品へ繋がる「悩める伯爵」を後で読んでも当初はすぐ結び付けられなかった。二巻目途中もしやと見に来て、やっと繋がった。
しかし、話の面白さという点ではこちらに軍配が。こちらの方がメインキャラのビジュアルが断然良い。
西洋の社交界の浮気や不倫の類を大真面目に怒っていたら、百万回怒り続けることになる。いちいちそこから拒否したら読めるロマンスは限られてしまう。
源氏物語が最古の其れであるように、人間はそこからも文学の花が百花繚乱咲かせている。
未成熟をカワイイとする日本と違い、成熟した大人同士でないと、という志向も西洋にはあるので、子ども過ぎると相手にならない、という考え方が出ていることはある。そこが嫌いな人は、こういう作品は読み辛いかとは思う。
そして、彼は猛省した訳だろう、もう裏切らないから許してやれば、と思ってしまう。
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