うん、いいね!と納得できる物語でした。ヒーローセスは、ひたすらに我が息子のこれから育っていくその過程に思いを馳せて、それは、ヒロインルーシーの王宮での暮らしを、彼女の話をキチンと聞いて理解していたことの裏付けでもあって、ただそのためだけに行
動した。感動します、その行為に。けれど、肝心のルーシーへの気持ちには、二の足を踏むという愚かしさ。でもその心情が良く伝わります。また、ルーシーも自分の立場を考えると 譲ることのできる部分と、譲れない部分との鬩ぎあいに心を痛めて、彼の下に馳せ参じるのが臨月となってしまうほどに苦悩していたのだと察せられ、作画にはありませんでしたが、マイアミに戻ってきていたことを鑑みれば、彼を訪ねる為に自分を奮い立たせる勇気を持つまでの時間が感じられて、苦しかっただろうなと泣けてきました。お互いが「裏切られた」「捨てられた」と思考を巡り、再開直後に出産という展開が、説明いらずの絶好のチャンスという進行となっていてこちらもうならせる。その後は、子供の未来を考えるのと同時進行で、ルーシーには、王女 という暮らしから セスの妻という暮らしへの順応具合や理解を可愛らしく、そして優秀さも見せて、またセスには、思惑があったとはいえ父親として誠実さも、子煩悩さも見せて 夫婦お手本のようでウットリと読みました。ただ、国王が提示した契約書の為に ルーシーも息子も去っていく場面のセスの表情(P93〜P98にかけて)からは 強固な意志も 怯む決意も、後悔も読み取ることが出来ず残念に思います。もっと間違えたのではないのか という苦悩を色濃く見せてほしかった。
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