女性がチャーミングで、建物描写も素晴らしい。
好きな人なら、10年という歳月は、気持ちを持ち続けるのに時間としては決して長くない。二十代一杯学生時代の感情を引き摺るのは珍しくない。(昔言えなかったと、時効後の打ち明け話、五万とある!)
好きな人が別の人と付き合い出した。これもありがち。
でもこの話は男性がその立場、しかも女性に困らないタイプ。
ヒロインのこれまでの行動と気持ち、わかる。もてて当人も積極的にとっかえひっかえするようなタイプの男性には、たとえ彼のことが気になるタイプで目を奪われていたとしても、警戒レベルMAXにして、ちょっとやそっとの彼の親切な態度は誰に対してもだと受け止めるようにする。
思わせ振りな言動でゆさぶりがうまいから、勘違いしないようにする。
それでもヒロインは心の奥底にずっと彼を意識していた。気になっていることを自分で押し止めていただけだ。
そして、そんな無理無理な相手は交際相手として現実的に浮上せず、身近な人と付き合う、よくわかる。
このストーリーの核心は、女性よりどりみどり状態の中でも、彼が思いを封印し続けてきたことの凄さ、その思いを抱き続けられたこと自体の、格好よさ。
そして、大概はお互い親しさを認める間柄であっても、その次の本気でぶつかる一歩は踏み出せない。
でもこれじゃいけないとごまかしきれない自分の気持ちに向き合う。
ヒロインの告白の勇気が素晴らしい。
それにしても、あの妹はうっとおしい。ストーリー進行を混ぜ返す役割。アクセントになっており、不要というつもりはない。
裏切り者の元カレも、前半でとんでもないやつ、という感じで描写されるも、後半に、なるほど、と元カレ側の交際時の総括を説明されると納得。
58頁のキスシーンは良かった。
男性陣、線弱い。
コマが大切りが多く簡単に頁をめくることになりボリューム感が削がれる。そして、顔アップ多すぎ。電子書籍としてスマートフォンでみる分には顔アップの多さも画面が小さいなりに苦痛とまではいかないが、これ紙のコミックサイズを想像すると手抜きと感じなくもない。絵の好感度の高さで救われているだけだ。それに、大ぶりの人物絵が多いとドラマがメリハリを失って、紙芝居化してしまう。
あと、誤植が気になる。
このストーリー、ヒロインのアクションが要所で2回事態を打開する。その勇気に心を動かされた。
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