主題のひとつが私の大好きな言葉であり、これを物語の中で表現されているストーリーはほぼ間違いなく好きです。
人を貶めることによって支配欲を満たす、そういう男性は、世の中に稀とは、決していえません。自分が優位に立つことを前提とした関係を築く人
はいます。でも、互いに尊重しあうものを相手に見いだせない関係は、気持ちよく長く接することはないと思っています。
ヒロインのことを愛して信じ、その才能を認め、一個の人間としてじっくり自分に向き合ってくれる、素晴らしい彼が現れた、というお話です。彼は自分へ彼女がいつか心を寄せてくれるまで忍耐強く待つと言ってくれます。
そこを描くことで、二人の愛の確かな基盤を感じさせるストーリーとなっています。
ヒロインは、彼の愛情を揺るぎないものと認めることによってしか、次の新しい愛に進めなかったほど、傷つき疲れていました。ひとたび男性の愛不信に陥った彼女を、もう一度信じられるところにまで持っていけたのは、彼の存在あってこそ。彼のキャラと役割が扉を開いたのでしょう。なにくれとなく気にかけ、要所要所でサポートしてくれ頼りになるうえで、いちいちさりげない愛情をアピールされたら、ヒロインのようにそこまで傷ついている心でなくとも傾くのが自然。
村人もライバルも思ったほどの相手などではなく、問題は彼女自身が過去の不幸を克服できるか、でした。でも評判になってる若い女性ですから、水車小屋独り暮らしが危険でないはずないですよね、お話の世界ですが。
絵が可愛らしく、ヒロイン前夫の横暴は病的な可愛がりが高じたものと想像しやすいですが、この話、前夫が運よく(!?)事故死してくれてよかったね、といわざるを得ません。
ヘンリエッタの目が大きく感じることが多くそれなりに気にならなかったと言えば嘘ですが、一方で、ジェイリドの複数箇所にわたるキスシーン描写は引き込まれました。サマになる場面に普通に暫しひたってしまいました。
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