子どもか、と思える見た目と、我儘なだけにしか見えないヒロインの態度にガッカリしていたのが正直な所。
肝心なときでも放つ言葉にきつさがあり、素直でないところが可愛くないを通り越して醜い。素直になれない事は誰にだってある。けれど、ヒロインはむ
しろ相手を傷つける。ヒロインの窮状を、救っているのだ。どんな形であろうと。最低なやりとりをずーっと見せつけられ、自分の中の盛り上がりにくさを感じつつクライマックスへ。
HQには販売に乗っているのが信じられない作品が結構あるが、これもそうだったのか?と、もう購入した後なのに嫌な思いが頭を掠め始めていた。
流れとして、夫の我慢強さを愛があったからだと後付けで認められないヒロインの独りよがりぶり。
第一インテリアデザイナーにしては城改装をDIY色強烈。絵的にも、あれ?あれ?という、印象はあった。
このまま行ったら、2.5位だと感じていた。
ヒロインが動いた。長い道のりの中ではかなり短いけれども。
そこから私は見直した。
しかも、これ迄の展開で冷ややかに眺めていた私は、ヒロインの捨て身の賭けのような告白に、心を動かされた。ツンツンしていたのが、ここへ来てのデレ。読み手のこちらに鮮やかなサービスエース。そうやってそこに来たか、と、意外ではないところに落ち着いたのに、率直になった一連の言葉に、わたしも動かされた。
もっとも、彼を打ちのめしそうになった最後の捨て台詞、読み手は心にもないことを、と思っても、放たれた側にとってそこを「心にもない」とはわからない。果たして、実は...、と打ち出して、そうだったのか、などとすんなり通るものなのだろうか。簡単に言い放たれたばかりで、まだ刃の鋭さの残る、たった数時間前の言葉の、前言撤回が?
としたら、それもひとつのヒロインの(話の作り手の)、彼への甘えにも思える。彼がヒロインのことを思ってくれているのなら、という。。。
好きになった相手は自分以外と結婚、でも好き、そんなとても苦しい恋愛をサラリと片付けるしかなかった構成だが、ここのドラマに付く絵に、これ迄の物語の空気を一転させる熱が、もっとあってもよかった気がする。
読み返すと、描かれるものが隅々まで筆が届いている感じ。白黒グレーのコントラストも見事。
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