冒頭のヒーローアレックスの夜会服が、まるでお仕着せのように ダボダボで その身に合わせていないかのように見えてしまうのは残念だ。折角のカラーページなのに…。物語は、お互いに惹かれあう2人の気持ちが根底にあることが、鬱々とした内容に暗すぎない
状況を作り上げ、一筋のホントに一筋 光を差し込ませる作りになっていて安心した。それでも事象はかなり酷いもの。ヒロインナターシャにしてみれば、一目ぼれした素敵なアレックスが こんなに冷徹な男性だったという絶望に 百年の恋も冷めるというところだが、事後の彼の態度は一変して優しいものだったことが、物語を複雑に そして期待感を持たせている。アレックスにしてみれば手紙1通を鵜呑みにしての行いの卑劣さに自分に嫌悪した。この展開が繰り返される。そして、真実が明かされたとき、疑問が私の頭を擡げた。事の発端となった手紙は 何のために作られたのだろう?この思惑だけは理解に苦しむ。一見、養母の行動が発端と見えるが、事を人非人的凶悪化させたのは養父。その根底は「愛」ではなく「プライドと世間体」しかなく、亡くなってくれてせいせいしたというところ。亡人を悪く言いたくはないが そのおかげで全ては丸く収まるという物語だ。養母を悪く言いたくもなるが、彼女の勇気と努力で行動したとしても結果は変わらないどころか、もっと悪くなっていたかもしれないと思うほどに、養父が悪魔だった。最後には全員の心情に胸が痛くなるが、アレックスの心情の吐露にナターシャと私も苦しさと嬉しさとで胸も目頭も熱くなった。
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