結婚式シーンで締括るとHQは金太郎飴に陥るきらいがあって、この儀式に何頁も割かれるのを私としては余り歓迎出来ない。
ただシリーズものの弱味、しかもこれは、一夜にして事故で家族が暗闇に吹き飛ばされた後、残された娘たちが、一人一人幸せをつかむ
話、良しとするしかない。最終話は皆一堂に会しての大団円、という訳だ。
HQは、幸せに遠かった女性を一人また一人と幸せにしてあげるので、読んでる自分もハッピーな気分になって読み終えられてなんだか嬉しい。
しかも、この三人目のヒロインが事件後最も過酷な少女時代を送っていた。他の二人の家庭には事件前にいざこざがあり、このヒロインは両親に問題描写なく、ある日突然大人たちが引き起こした飲酒運転による、ただの被害者たち。
飲酒運転が奪った皆の幸せ、特にまだ幼い子どもたちの幸福な子ども時代を途切れさせたことは事実として軽くはないことのはずだが、そこは大上段に置いてない。
でも、両親が、つまり、たった二人しかいない親の両方ともが居なくなると、子どもたちは実に大変なものだと、それがメインのストーリーでないのに痛切に感じる。
契約結婚と記憶喪失もの、このゴールデンコンビの骨組みに、自分のことを恋愛対象と見ていない男性と結婚したヒロインの彼への想いが、胸を刺してきて、ウッとくる。記憶が戻ったら、そう思うと、彼が見せてくれる姿や示してくれる愛情が、喜ぶべきでないのにでもやっぱり嬉しくて、そして、切なくて。指輪のシーンにはもらい泣きした。
夫としての誠意を見つけるほどに、自分を女として求めてくれる姿に自分の夢を重ね、例え女性として束の間でもと、愛される。
四年前の結婚のことを知らなかった執事たちの驚く姿、バレンタインデープレゼントを抱える様子にほほえましさを、彼が「『ああ』ばかり言う三流女優のような」「愛人』と別れるキッパリ対応に爽快感。叔母にも、何らか欲しかった。
彼の家は冷たく見えるという外観とは反対に、確かに中は暖かい場所だった。それが表されていたのがよかった。
384頁の、3話3ヒロイン中二人にとっての悪人たちについて云々のコマ、改行場所が違うと思う。
冒頭の記述に関する内容に戻るが、冗長に見える結婚式シーンよりも、弁護士の説明シーンを端折った感があり、こっちにもうすこし描写が欲しかったように思う。出場シーンの配分からいって割愛したのだろうがー。
もっとみる▼