俗物以下の酷い男性同僚が話に出てくる。こういういやな人間を誇張して描写しているが、現実も男性の能力の対抗心から来る嫉妬心は始末に終えないから、お話だと彼が力で撃退してくれるところがいい。綺麗事は言わない。殴ってくれてスカッとした。
ヒロイ
ンは家庭に恵まれなかった。両親とも親の役目を果たしていない。しかし、それをヒロインは自分のせいだと、自分を裁いてしまって、自分を罰するように自分を愛から隔絶させていた。悪いのは両親なのに、大叔母の言葉もあったのに。
大叔母様のような人が居てくれて、ヒロインは冷たい世の中にも暖かな人の存在を小さな頃から感じることができたという事が、ヒロインの周囲でヒロインのことを見いだす人にも恵まれる結果を運んできたのだろう。
ヒロインの建築士としてのスキルをしっかり見つめてくれた所長は、大叔母様に次ぐ育ての親だ。仕事を見ずに外見や女性としての魅力面に目がいって、それらの要素を排して当人自身の能力を見極めようとしないところは、実は、彼も、最低な奴である同僚も似てる。そう、男だから。異性としての側面を抜きにして見れない。
でも、冷静であろうとする努力もまた、二人は物語の主役にふさわしい。葛藤が素敵だ。そして、恋の感情は、避けても突っ張っても結局抗うことができない。ひかれあう二人が交際関係を開始してからも、冷静であろうとする。そこは想定できるが、狂言回しのいとこ夫妻の動きが読めなくて、別の意味でストーリーを彼らが動かす。その二人の夫婦の有り様は、人はどんな地位に就いていようが同じだなと、思わされる。こういう公国は、大公ファミリーがその国で最も稼ぐ力を持っているから代々大公であるのであって、彼はそのファミリーの一員として、今後も公国の収入を支えていくのだろう。
その意味では、ヒロインの「国際プロジェクトも担える力量」を活かすところをストーリーがフォローして欲しかった。
私は絵を見に来たのだが、今回少々ディテイルに物足りなさを感じた。モノローグがメイン二人にはそこそこあるので、コマをゴテゴテしても見にくくはなるが、ストーリーの舞台は、ロンドンと地中海、公国とある。それらの場面場面に居た様な雰囲気はもっと欲しかった。
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