自分を美しく飾ろうなど思わないヒロインの美しさを見抜いているのが、本当の相手なのだろう。刹那的に恋人関係を楽しみ、いつの間にか最も愛する人になっていった。
好みの絵であるかどうかで評価を下げたりしない(新しいか古いか、なども私には下げ要素
にならない)。スッキリした人物画の好きな私がJET先生の作品を数多く読むのは、漫画としていいと思っているからだ。(動物)馬を描ける画力に、全体として決して白っぽくない素晴らしい仕事ぶりは、称賛されるべき入魂ぶりを感じる。
ただ、ベッドシーンの多さに「 経験豊富」を裏打ちするものだとの理屈があるのだろうが、馬を暗喩しての調教願望的作りのストーリーは、男性の持つ征服欲を女性サイドでここで語っていない分、狙った獲物が落とされた感のシドニー旅行に、負け気分を何となく抱かせられた。彼もどんどんヒロインにはまっていくから、結果オーライなんだけれども、ちょっと、端で読み手として付き合っていると、ヒロインが簡単に夢中にさせられ転がせられてしまったように見え、くやしいような。
だが、こんな状況が自分にあるとは夢にも思わなかった、短くてもこの相手なら恋人でいたい、そんなヒロインの心情、とても理解できる。
まして、「気のきいた」やり取りがうまく出来ず悩んでいる、そこを描写しているため、誘惑に乗る過程、巧みに共感も引き出された。
「アリ」王子、終始余り表に出て来ないのかと思っていたら、遺言でいいところに現れておいしい役目。
遺言は生前に伝えられるのか、と意外な気がしたが、物語中で語るこのシーンの比重の大きさが効いている。
バンダルキャラ、物語の方向をクライマックスでポジティブな印象に引っ張り、術後のキャラでも更に修正、HQ だからな、となる。よくも悪くも。
ベッドシーン、JET先生の筆だと、あけすけにいやらしさが増し、人の目がある場所では本作は開けなくなる。
待ってもらってあと3週間したら手術、その間に片付けておきたいことはあるだろうと思う。来週スケジュールが組まれても、私も少し待ってとなるかも。何しろ失敗イコール死、なのだから。
HQでないと読めない。
本作は「五億ドルの愛人」のスピンオフだそうで、後でその、ポーカーゲームシリーズに行くつもり。
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