ライオンハーツ【単行本版】
」のレビュー

ライオンハーツ【単行本版】

三田織

社会全体の問題

ネタバレ
2024年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ずっとこどものままいられたらいいのにね。自分の気持ちに素直で宝箱にはキラキラしたものがいっぱい。
でもそれは無理だし成長と共に世の荒波が押し寄せてくるのは世の常。特に同性愛への理解は昔よりは変化しているとはいえ今の日本じゃまだまだだなって思う。しーちゃんのように聞き分けの良い子は特に、幼い頃の母の言葉は呪縛となったことと思います。同級生のクッキー女の言葉は、ほぼ腹いせだろこれと思いながらも、元々呪縛かかっていた上こんなん聞いてしまって怖くなってあろうことかこれからお泊りの予定だったレオを置き去りにして逃げたしーちゃんを…私はどうしても責める気になれません。いや泣きながらひとりぽつんと帰るレオの後ろ姿は可哀想で可哀想で今すぐ漫画の中に飛び込んで抱きしめて一緒に泣きたい気持ちだったんだけどね。描きながらだんだん腹立ってきたという先生の言葉すごく共感しました。2人のせいじゃない、2人ばっかり頑張らないといけないのは違うと。

レオとしーちゃんの家庭環境や周りの友だちの違いもよく描かれていました。自由(過ぎる気もするが)なママに育てられ、ゆかりんや先生のように同性の恋人が普通に傍にいるレオと、そういうのと無縁のしーちゃんでは、蓋をした宝箱を開ける為の勇気の度合いが違ってくるでしょう。だから告白もレオからだったし。付き合えて幸せで、でも周りの目と言葉が怖くて、悩んで逃げて腑抜けになって、結局最後に残ったのはレオを好きという気持ち。ゆかりんの言葉が喝となったし間違ったことも言ってないんだけど私はちょっと聞くの辛かったな…言い過ぎたって言ってくれたけど"加害者"とかキツかったな。。
この後レオを探し一人会いに行ったしーちゃんを応援以外何が出来るでしょうか。しかもレオはレオで、自分がじゃなくて自分といることでしーちゃんが傷付くのが嫌だって言うんです。こんな愛すべき子らが幸せになれないとしたら、先生の言う通り個人だけではなく社会がもっと変わらないと。と言いつつBLばかり読んでる私も現実では周りに同性愛者いないんです。もし今後出会えることがあれば、きっとこのお話の諦めなかった2匹のライオンくんのことを思い出し、少しでも寄り添える存在になれたらなと思います。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!