ぼくのブルーキャット
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ぼくのブルーキャット

井波エン

音の聞こえる漫画

ネタバレ
2025年10月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 絵はもちろん、ストーリーも本当に素晴らしかったです。
最初に依鈴が弾くピアノの音、当真と依鈴の二人で弾く音、コンクールでの音、そして最後のもう一度二人で奏でる音。それぞれ全く違う響きで聞こえてくるようで、その音の描写に圧倒されました。白黒の静かな世界なのに確かにそこに音がある。演奏の音だけでなく環境音や呼吸音まで感じ取れるような臨場感があり、ページを捲るたびに心が震えました。
また、心理描写の繊細さも圧巻です。セリフのないコマに込められた表情や仕草ひとつで、二人の感情がじわりと伝わってきて、胸がキュッとなる瞬間が何度もありました。
静と動、音と沈黙、心と心の距離、その全てが丁寧に描かれた、まさに音の聞こえる漫画でした。
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