放課後のYくん【特典ペーパー付】
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放課後のYくん【特典ペーパー付】

重い実

作者買いです

ネタバレ
2025年11月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 男子校で女子に飢えた状態のノンケDK同士の恋という王道ネタを、重い実先生の作品で読めて幸運でした。

吉岡と横井の恋は、ちょっとした出来心がきっかけで始まった感じですが、放課後2人で勉強するという行為自体が、一緒に居ることが嫌じゃないってことだし、唇に触れてみようと思うこと自体が、触れることが嫌じゃないってことで、更に触れても嫌悪感が無いどころか気持ちよかったなら、なんか色々準備万端整いましたって感じですよね。吉岡と横井の間には、もともと恋が芽生える土壌が整えられていて、だからこそ芽吹いた後は本人の自覚のあるなし問わず、急速に想いが育っていったんだろうなと思いました。

恋を自覚するまでの横井は、気持ちが追い付かずに色々考えすぎて体調まで崩す有様でしたが、吉岡は自分の欲望と感情に素直で行動にも迷いがない感じ。逆に想いが通じ合った後は、何をどうしたらよいか分からずアタフタする吉岡に対して、横井が男らしくリードします。横井が「ビビった?」とフッと微笑むシーンでは、吉岡同様、私も鼻血出すところでした。凄まじい色気は叔父のナルキッソス譲りでしょうか。

吉岡には我慢のきかない、脳内と言動が直結しているような幼いところがあって、それが横井の頭でっかちなところをカバーする。お互いの欠点を、お互いの長所で補い合っているようで、すごくバランスの良いカップルだなと思いました。
描き下ろしでは、吉岡の目に、自分以上に魅力的に映る人間が出てきちゃったらどうしようという横井の不安が描かれていました。始まりが始まりなだけに、心配にもなるってもんです。でも吉岡は横井のスペックだけで好きになった訳ではないと思うし、性格的にも合っていると思うので、社会に出てどんなに素晴らしい人と出会っても、2人はお互いの隣に居続けるんじゃないかなぁ。重い実先生は、この手の不安の描き方が凄く上手いと思います。読んでいる私まで、いつも心がザワザワしてきます。

話の筋には関係ないけれど、今回も小ネタが効いていて、参考書のタイトルにめっちゃ笑いました。「仏恥義理 物理Ⅱ」もだけど、「田中史」って何?!「日本史」かと思ったら違うんだもん。田中ツインズの家系の歴史だろうか(笑)
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