このレビューはネタバレを含みます▼
寂れた地方都市でつつましく暮らす作業員の男が、東京から赴任してきたエリート所長に出会い、脅し脅される関係から特別な関係になるまでのお話。
ストーリーがとにかく壮絶で、劇的な物語です。小さな田舎で優しく素直に生きてきた湊が都会のクズ男凍月に性的搾取されることから始まる地獄。罠を仕掛け、堕ちたところをさらに追い込んで脅し、無理やり関係を続ける日々が描かれた最初の方は、かなり心苦しく、地雷の人もいるでしょう。湊が復讐に舵を切ったことで物語の様相は変わっていき、クズ男だった凍月が自らの恋心を認識し始めると少しずつ二人の空気に甘さが加わります。手段は最悪だったものの、唯一自分を本当に愛してくれる凍月に心を許し始める湊ですが、当初の予定通り凍月の告白を無惨に断って復讐を果たした彼を襲った不慮の事故。そこからの凍月の行動は、自分勝手ではあるものの、湊のために全身全霊で介護する姿には、もうクズ男の影はありませんでした。こんな関係性からでも愛が芽生えていくなんて、無茶ではあるものの、ありえなくもない彼らの背景がちゃんとあって、その全部が設定として上手く活きていて、世界観の作り方がものすごく上手い作者様だなと感心しました。
最後の描写は夢か現実か意見が分かれるところのようですが、私は現実であると信じたいです。壮絶な湊の人生が、少しでも穏やかで幸せなものであること、またその側には凍月が誰よりも尽くしてくれていることを願います。