娘はいじめなんてやってない
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娘はいじめなんてやってない

しろやぎ秋吾

あなたは忘れてませんでしたか?

ネタバレ
2025年12月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少年が遺書を残して投身自刹を図ったのは、果たしてかつてのイジメの報復としてイジメが行われた果ての悲劇か、「わたしはいじめてない」と涙を浮かべて訴える少女の言葉は真実か。
そのようなサスペンス調の視点で見ると最後に現れる「犯人」の佐藤乙葉は遺書にも書かれていない第5のイジメ被害者であった。
しかし少年の母親はこう思う。「忘れていた」と。

息子のイジメを過去のものにして忘却している母親に嫌悪感を抱いた方も多いでしょう。
しかしそんなあなたも「乙葉ちゃん」の名前を既に見ているはずなのに母親と同様に忘れてはいませんでしたか?
そしてかつていじめられていたのに遺書で謝罪対象となっていない事も疑問を抱かずに読み進めてはいませんでしたか?

そう思うと、無関心が故にイジメに気づかない大人は読者自身であるという構図も忍ばせたミステリとしても本作は読める……のかもしれない。
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