2055【単行本版】
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2055【単行本版】

三月えみ

人間の記憶

ネタバレ
2026年1月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 236頁ものボリュームある作品ですが、2072で涙腺崩壊起こしてしまって、1冊読み終えるのにめっちゃ時間費やした者です。

3組ともに共通してるのは、人間の、"記憶“をあっさり手放すことのできない故の苦しみ、もがき、闘いなどでしょうか。何もかもを作り出して何もかも代替ができるように革新に革新を重ねてきた人間であっても、時間の共有までは再生(過去へ回帰)できない。
愛し合った者のいない空虚感だったり、愛した者を取り戻したい念願だったり、愛してくれた者たちの記憶を背負って生きようとする選択だったり。
どれも「オリジン」は、愛する者と共に居た思い出や記憶を無くすまいと、消されたり書き換えられることを拒否する反面、「ニューオーダー」にはそういった執着がなかったですね。
かといってこの作品に無機質のAIが人間の上に君臨するとかのSF色は強くなくて、人間のより良い暮らしのための不要なものだけを削ぎますよ〜の体なので、敵対といった構図に発展しないところが読みやすかったです。
喜怒哀楽はもってるけど感情に支配されないよう組み込まれ進化し続けてきた「ニューオーダー」の、"涙を流す“までの年月が全編通して描かれてて、個々の短編のストーリーと全編通して繋ぎ合わさったストーリーの明解さ・緻密さ・未来への期待みたいなものが感じられて、先生にはひたすら感服しかありません🥹

髪の伸びたサガミとか、水だまりに雨の振り注ぐ2075の水滴とかがすごく印象的でした。あ、あとがきの「ブーツは外せない」には吹きました🤭
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