2055【単行本版】
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2055【単行本版】

三月えみ

いっぱい泣いた。良いSF

ネタバレ
2026年3月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても面白かった。近未来SF。AIの発達により、人間の過去のアーカイブを入れてその人本人と見紛う程の高性能アンドロイドを作れるようになった世界。当然のように死者をアンドロイドとして蘇らせる商売が横行。主人公達はどちらかが死んでもニセモノは作らないでと約束し合うんだけど、受けは喪失に耐えられず攻めのアンドロイドを作ってしまう。結局本人ではない攻めに耐えられず病んでしまうんだけど、自分勝手に作ってしまったアンドロイドの攻めを一人残すこともできず彼のために受けのアンドロイドを用意して姿を消す展開がちょっと世にも奇妙な物語的でSFぽさも強くて好き。最後のアンドロイド同士の会話も切なくて好き。
そして物語は更に未来へと続く。人間が作ったAIが更に高性能なAI(ニューオーダー)を作り世界を管理し始める。人間はオリジンと呼ばれ絶滅危惧種のようにAIに管理保護され安寧の暮らし。世界観がめちゃくちゃ面白い。旧AIと新AIの目的というか構造の違いのようなものの対比が面白かった。ニューオーダーには感情がないので悪意もなく、本当に人間を幸せにするために活動しているんだけど、人間とは違う埋まらない溝があるのが怖い。人間の感情、人間らしさに寄り添おうとはしているけどちょっと的外れなところとか。そして反AIのレジスタンスの青年が、この世界でAIと共存し生きる目的を見つける展開もめちゃ良かった。ただニューオーダーに感情を持たせるのってめちゃ怖いね…とも思ってしまう。今の状況ってニューオーダーが悪意を持ったら終わりなので。
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