【単話】ファミレス行こ。
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【単話】ファミレス行こ。

和山やま

読者は二人に翻弄される

ネタバレ
2026年3月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「カラオケ行こ!」では、終始聡美くんが狂児に翻弄されていましたが、今回は狂児も聡実くんに翻弄されています。そもそも前作の最後で「カラオケ行こ」と言っていたのに、全然カラオケ行かない。だから聡実くんが「僕のことなんやと思ってる?」って聞くのもうなずけます。狂児は甥や姪には会えないから、聡実くんにその愛情を向けているのかもしれないし、ヤクザを「親父が死ぬまではやめへん」というから、「狂児は組長のことを大切に思ってるんだな」とわかったりもして、そしたら「組長、いつ死ぬん?」と言っちゃう聡実くん。聡実くんが組長と狂児を取り合う感じになってる。最後に回らない寿司屋で、狂児がオトンを「愛くるしい」と言ったのどうつながるのか全然わかんないけど、こういうところに狂児の家族愛的なものが出ていて、聡実くんのことも愛しているんだろうな、と思いました。聡実くんは狂児が死んだと勘違いした時のことを思いだして「狂児が好きで狂児は生きてる」と思うあたり、マナちゃんの「生きていれば絶対会えないなんてない」が重なって、最後、もう会わないような終わり方にも見えつつ、でも二人とも生きているから、きっとまた会えるんだろうなと思っています(狂児も「ほなまた」と言ってるし)。聡実くんが狂児の刺青を消すお金をためていたのは、対等になりたかったからだったのか。でも、狂児が聡実くんを好きだから名前の入墨が彫られたこと、聡実くんはわかってないの?それともわかってるから消させたいの?離れられないのは狂児の車の助手席に乗ったからだよ、入墨消させても遅いよ。ただ、子どもだった聡実くんを子どもとしてかわいがってきた狂児だけど、聡実くんは狂児にハグを催促するくらいまでなりました。聡実くんの成長物語ですね。この二人の訳の分からない愛に読者は翻弄されます。またどこかに行く二人を見たいような、でもこれで終わりでもいいような、それではやっぱり淋しいような、読み終わった後もずっと翻弄されています。
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