バケモノの花嫁【電子限定漫画付き】
」のレビュー

バケモノの花嫁【電子限定漫画付き】

秋久テオ

愛が沁みる

ネタバレ
2026年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 異端とされること、違いを認めない狭い社会に、息苦しさを感じて生きてきた暁夜に、同じく他と違うと疎まれる苦痛以外には、何も持てなかったヒナタが嫁として与えられる。自分だけの特別な人、幸せになるべき、自分の宝である嫁という存在が、笑ってくれない、初夜の契りは無理にでも結んで嫁にしたのに、、それは自分が異端、バケモノであるせいなのか、、。どんな姿でどんな性質をしていても、同じ生き物ではないか、と心から思っていたのに、自分の目に美しく映るヒナタに心を奪われるほどに、ヒナタに自分が見合う存在なのかと怖気付く暁夜の愛の芽生え。そしてヒナタも、蔑まれただけの人生だった自分に共に生きろと言ってくれた暁夜の言葉と、丁寧な扱いに、心に灯がともり生が取り戻されていく、、。お互いの繊細な心情と、惹かれていく二人の高まっていく気持ちの描写に胸を打たれます。この人と一緒なら死んでもいい、この人を傷付けたくない、と思えるほどに芽吹いた愛情。暁夜がヒナタに埋め込んだ愛情が、単に道具にされ任務をただ遂行する行動の無意味さをヒナタに悟らせ、生きたいという気持ちに気付かせる、その過程が心に沁みてきます。広い世界を知らない閉塞的な社会の因習と、そこにいる獣人達の怯えた心の暗さが、情景的に表され、その暗さの中で、二人の異端の恋の輝きがきらめき、光の世界に出ていく世界観の変化も感じられる作品。そして結ばれた後の心穏やかな安寧の中での恋人同士の温かさも感じられる作品。一つの作品の中で、暗明、不安と戸惑い、安全な安らぎや、心が静から動へと脈打つ変化等、様々な変化を感じられるドラマティックで惹きつけられる作品。後半になるにつれて幸せになる二人には、前半の暗さと違う幸福感が溢れ、幸せな二人を見られて嬉しいです。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!