心中するまで、待っててね。
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心中するまで、待っててね。

市梨きみ

メリバの傑作と言われる意味

ネタバレ
2026年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 結末も凄いが1人の人間が壊れていくさまが読んでいて苦しい
みんなに愛され明るく人当たりのいい福太が1枚1枚皮を剝がされるように壊れていくその落差に胸をえぐられます

無意識に心の奥底に深く封印していた事実が浮かび上がったと同時に
後悔と懺悔が彼を蝕んでいく描写は圧巻でした。読んでいてほんとに辛かった。
そんなになってまで福太が求めたものを純愛と言わずに何と言うのか・・
そして彼の前に幽霊になって現れてまで福太を守りたかった葵の気持ちもまた純愛。

メリバの醍醐味ってその愛の重さと純粋さにあると個人的には思うのだけど
お互いに自分の命すら惜しくないほど堅くて揺るがない思いは
他の何にも染まらない艶やかな黒みたいに「純然たるもの」っていう感じがして
もはや畏怖と感じるくらい美しいと思います。
でもその強く結ばれた想いはあくまで精神世界でのハピエンで、社会の理を超えた現実には悲劇しかなくて・・
それがメリバのしんどさであり素晴らしさなんだろうと。
この2人の罪のない無垢さがそれらをより引き立てていて、この作品がメリバの傑作と言われる意味が分かる気がします

読んでいる時は泣かなかったけど、読後考えれば考えるほど衝撃が大きくなっていって
最終的にもう2人を引き離すものはないんだなと思うと涙が止まりませんでした。
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