天堂家物語
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天堂家物語

斎藤けん

蘭のまっすぐさがスカッとする

ネタバレ
2026年5月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 名門の大きな家に嫁ぐ伯爵令嬢の身代わりになった山育ちの女の子と、次代の跡目争いをしている天堂家の男が、様々なものと闘いながら愛を育てていくお話。
一昔前の日本を舞台にしたお家騒動と恋愛が、上手く混ざって描かれたいい作品です。上流階級の家柄のほの暗い雰囲気、そしてそこでもがき苦しみながら苛烈に生きる雅人と、山奥でじっちゃんに拾われて生きる術を教えてもらったものの、その死に触れ人助けをして死のうと考える蘭。生きることに対してのベクトルも生き方も正反対な二人が出会い、同じ時を過ごすことで生まれる化学反応がとても面白いと思いました。
中でも、蘭のまっすぐさはとても清々しいです。天堂家は内部での様々な問題が酷く、騙したり、隠したり、嘘をついたりと人間の醜さばかりの巣窟ですが、襲われても嵌められても、誰かに助けてもらうのではなく、蘭自身で何とかしてしまう、その強さと天然さがストーリーの最大の魅力だと思いました。常識や情緒は欠けていても、人としての善悪の分別はきちんとしていて、全ての行動がそれに基づいているので、蘭のまっすぐさにスカッとする場面が多かったです。
そんな二人が恋人になるまではとても時間がかかりましたが、このペースが少女漫画らしくて逆にもどかしさも楽しめました。
ようやく二人の幸せな日々にたどり着きましたが、物語としては全然進んでいません。天堂家の闇は全く解明されず、何人もの人が死んでしまいました。現当主夫妻は未だに一度も登場せず、雅人の母の死の解明もされていません。今後はこの辺りが展開されていって、全てが明らかになってほしいです。
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