このレビューはネタバレを含みます▼
連載1話から最後まで見届けることが出来て良かった。
ジャンプ本誌、単行本、アニメ、でそれぞれ読み味が変わり、週間で毎週1話1話追っていくのが1番楽しかった。
ジャンル問わず色んな漫画を読み、特にジャンプは20年以上読み続けたからこそ、王道の素晴らしさと少年漫画らしさを再確認出来た作品だと個人的に思っている。
粗もあるしご都合もある。
美麗絵ではなく版画のような線の描き方が雑に見える。
特にアニメ制作時期?(鍛冶の里辺り)の絵がヤバイぐらい荒れてる。
アクションは苦手のようで、状況説明も絵で表現出来ず文字に頼りきっている。
絵も台詞回しも独特の癖がある。
ギャグもぶっ飛んでいてキツい時もある。
途中から進みを急ぎ過ぎた感もある。
極めつけは最終戦の終わり間際まで禰豆子を放ったらかにしたのは絶許。
でも面白かった!
馬鹿じゃなく真面目に素直、だけどどこかイカレてて、だけど自分自身を鼓舞するぐらい真っ直ぐな主人公、と個性豊かで一心に鬼を倒すという目標を持ち命懸けで人を守る優しく強い仲間達、涙あり畜生ありの背景を持つ敵役達、そして最初から一貫して小物でお姿だけは妙にカリスマがあるように見せてくる無惨様。
明確なゴールがありシンプルに話が進み、人死にが出まくるけど最後には皆の想いを繋げてハッピーエンド。
基本的に設定世界観展開キャラ付けはテンプレなのに、作者の個性が散りばめられていて、王道と邪道とを行き来するような緩急があり、言葉の真っ直ぐさがそのままキャラに乗っていて、気持ちよく読める。
気付いたらいつの間にか面白く、熱く、感動していた。
総合的に見るとこれより好みだったり話運びが上手かったり魅せ方が上手い他作品は割とある。
しかし漫画史上色んな作品が生み出され、少年漫画であっても練りに練って凝ったものが良しとされる風潮が無きにしも非ずの時代に、黎明期のジャンプ作品のような泥臭さと真っ直ぐさ、日本昔ばなしのような絵柄に残酷さを併せ持った緩さと古典、日本神話からの設定や名称の引用、大乗仏教の死生観・輪廻転生観、ジョジョに心打たれであろう人間賛歌が、ストレートに寄り道せず描かれた作品は逆に原点回帰でもあり目新しくも感じた。
上記のように長所短所合わせた批判点は多々あるし、好みの作風でもない。
それを差し引いても面白かったと思える作品。
完結おめでとうございます。