このレビューはネタバレを含みます▼
障害を持ち、生活するとは何か…
私たちが自分の足で歩き、趣味を楽しむ
この当たり前だと思っている日々は束の間の出来事でいつ変動するか分からない
だからこそ今をどう生きるか、遠い未来をどう捉えていくか
すごく考えさせられました。
脊損は損傷した部位がどこかにより自由に動かせる部分が変動します。
晴人くんは下半身が全く動かせていないことから自分で排泄することもベッドから自力で起き上がることも難しい。
寝返りもきっと難しいから褥瘡予防用にクッションを置くことも余儀なくされる。
障がい者にならなければ知るはずのなかった生活様式に適応しようとする姿に心を打たれました。
晃くんは仕事の適正を見出し仕事仲間からも信頼される存在ではあるが、要領が良すぎるあまり世界旅行を好きな自分を思い出と共にクローゼットの中にしまっている様子に悲しくなってしまいました。
2人が終盤、各々を尊重して生きていくことを決めたシーンではようやくお互いの胸に隠していた本音を出せたんだなと思いました。
そして、物語の最後では彼らが何十年と過ごした後が描かれており、たくさんの写真の重なりから世界旅行出来たのかなとか考察できて嬉しくなるのと同時に「認知症」に関する本やそれに伴う内容を仄めかす晴人くんによる文の数々に障害だけでなく大切な人の記憶が失われていく病気になったのかと思うと胸が苦しくなり、涙が出ました。
でも、彼らの生き様が最後に現れているのを見てこの作品を読んで良かったと感じることができました。
当たり前の日常は変動するものであること、今の自分を大切に生きることの必要性を気付かせてくださりありがとうございました。