全寮制学園BLの“新たなる王道”といっても過言ではないこの作品。イギリスの名門貴族であるエドと日英の「ミックス」である礼の平坦な道のりではない愛の物語を3巻にわたって描いています。
パブリックスクールという閉鎖的な世界の中で、差別意識や立場の違いにもがき、そしてお互いを想い合っているのにすれ違う様子が実に切ない…でもそこが最高に萌えるのです。

エドは典型的な俺様キャラ。ただし礼にだけは「俺の弱さを愛してくれるのはお前だけなんだよ……」と繊細な一面を見せたりするんですね。対して礼は本当にピュアピュアな健気受けなのにエドを包み込む包容力や芯の強さもあります。この王道カップル2人のキャラを立たせる樋口先生の筆力が冴え渡っています。
パブリックスクールの生徒や社会に出てから関わり合いになったキャラクターなども二人にうまく絡んできて作品にさらに深みを与えているのも見逃せません。

  寄宿舎（ギムナジウム）、エリート……このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)樋口美沙緒・yoco/徳間書店

＜あらすじ＞
名門貴族の子弟が集う、全寮制パブリックスクール――その頂点に君臨する、全校憧れの監督生（プリフェクト）で寮代表（ヘッドボーイ）のエドワード。母を亡くし、父方の実家に引き取られた礼（れい）が密かに恋する自慢の義兄だ。気ままで尊大だけれど、幼い頃は可愛がってくれたエドは、礼の入学と同時に冷たく豹変!! 「一切誰とも関わるな」と友人を作ることも許さずに!? 厳格な伝統と階級に縛られた、身分違いの切ない片恋!! 

32歳の建築士と19歳の花嫁修業中のカフェ店員の花嫁ものBL。
「あまーーーい！」と、思わず某お笑い芸人さんのように叫びたくなってしまうこの作品はいつもの先生の作品以上にはちみつを煮詰めまくった激甘な作品です。
交通事故で両親を失ってから一緒に暮らしている百瀬（モモ）はイトコの彰芳のことが好きでたまりません。
13歳年が離れた彰芳を裸エプロンや彼シャツで誘惑するモモの描写におもわず「フフッ」と笑みがこぼれてしまいます。こんな19歳かわゆいじゃないですか。
ただただ2人を見ているだけで至福！満腹！1行読むごとに幸せな蜜が滴っていくようです。はちみつ漬かりまくった『たべごろ誘惑ハニー』。

砂吐き、花嫁…このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)間之あまの・花小蒔朔衣/幻冬舎コミックス

＜あらすじ＞
カフェで働く日高百瀬は、小さいころからイトコの彰芳が大好き。彰芳のお嫁さんになるべく日々花嫁修業に励みつつ、夜はお色気作戦で「誘惑」することにも一生懸命。でも、彰芳は裸エプロンにも彼シャツにも反応してくれなくて、百瀬を子ども扱いするばかり……。そんな彰芳が、百瀬の二十歳のお誕生日直前に前祝いだとキスをしてくれて!?

スクールカーストものですが、対象である平良があまり気にしていないので辛い描写はほぼありません。安心して読み進めることができますよ。
とにかく、平良の気持ち悪いくらいの愛情がまぶしい1冊。もう信仰といってもいいくらいの一途さ、健気さにきっとあなたも悶えるはずです！
また、平良サイド、清居サイド両方の視点から物語を楽しめるところも本作の魅力。スクールカーストなんて気にせず、平良自信をきちんと見て評価している清居にも心打たれました。
個人的に萌えたのは、清居が意外とやきもち焼きだったこと。平良は清居にべた惚れなのに、自分以外の人が平良の良さに気づくと、あまり面白くなさそうな反応をみせるところがかわいらしいです。なんだこの二人！ 結局ラブラブじゃないか!! と、テンション上がりました(笑)  

一穂ミチ先生の「イエスかノーか半分か」シリーズが好きな方にもオススメ！
ストーカー系スクールカースト下位×スクールカースト上位、この掛け算にピンときた方、男子高校生たちの初心な恋愛模様を楽しみたい方にオススメ！

(C)凪良ゆう・葛西リカコ/徳間書店

＜あらすじ＞
「キモがられても、ウザがられても、死ぬほど君が好きだ」無口で友達もいない、クラス最底辺の高校生・平良（ひら）。そんな彼が一目で恋に堕ちたのは、人気者の清居（きよい）だ。誰ともつるまず平等に冷酷で、クラスの頂点に君臨する王（キング）――。自分の気配に気づいてくれればいいと、昼食の調達に使いっ走りと清居に中誠を尽くす平良だけど!? 絶対君主への信仰が、欲望に堕ちる時――スクールカーストLOVE!!

受けの深尋は転落事故で一時的に記憶を失うのですが、すぐに記憶が戻ってしまいます。記憶喪失の深尋を迎えに来た高校時代の同級生・准平。准平は自分たちは恋人同士だと主張。しかし記憶を取り戻した深尋はそれがすぐに嘘だと気付きます。
ここから話が本格的に展開していくわけですね。
准平が嘘をついた理由が気になり、深尋は記憶喪失のふりをして、なんと准平と生活をともにすることになるなんて。
しかし嘘の上に成り立った生活は、いつかほころんでしまうもの。深尋と准平の関係はどうなってしまうのか？
この作品はストーリーに力があるので、先へ先へとページをめくる手が止まらなくなってしまいます。すっごい吸引力で吸い込まれていきますよ。
先が気になるストーリーに加えて、イラストの橋本あおい先生が描く和装が美しい!! 和菓子屋で働く2人なので和装のシーンが多く、和服萌えの方はぜひご覧ください。

  和服、記憶喪失…このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)川琴ゆい華・橋本あおい/KADOKAWA

＜あらすじ＞
事故で一時的に記憶を失った深尋は、病室で元同級生の准平と再会。だがなんと彼は「深尋は俺の恋人なんだ」と告げてくる。真意を探るため記憶喪失のふりを続ける深尋だが――奇妙な嘘からはじまるラブストーリー！

本当は誰かに構われたいし仲良くなりたい…でもうまくコミュニケーションが取れなくていつの間にか浮いてしまう。それが怖いから最初から一人がいい。もしかして心当たりのある方もいらっしゃるのでは？
潔癖かつ偏食で、独り身がいいと自分に言い聞かせているリーマンの蛍はまさにそんな男。
ところがある日、上の階に住むイケメンでちょっと意地悪な歯科医師の小野になぜか構われるようになり…。
嬉しくて舞い上がってお尻がピカピカ光る勢いの蛍ですが、小野のことを信じ切れずに、あっぷあっぷしている様子がいじらしくも切ない。そんな小野はとんでもなく蛍に甘々に接する一面がありながら、腹黒キャラでもある二面性を見せます。
めんどくさそうな2人の掛け合いのテンポが軽快。それでありながらキュンとするお話に仕上げてくるところが月村先生の筆力のすごさです。『眠り王子にキスを』のスピンオフですが、前作未読でも大丈夫ですよ。

  こじらせ、コミュ障、後ろから抱っこ…このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)月村 奎・木下けい子/大洋図書

＜あらすじ＞
潔癖、偏屈、偏食で意固地な経理部会計主任の堂島 蛍がこの世で一番愛するものは、静寂と清潔だ。人に好かれたいと思ったことはないし、恋愛とか結婚とか、わずらわしいことは人生から排除している。だから、今はとても幸せだ。……幸せな状態のはずだ。そのはずなのに、なぜか胸がざわざわして、蝶のつがいにさえいらついてしまう。そんなある夜、酔っぱらった蛍は勢いで恋人代行業の便利屋に電話してしまう。現れたのは、清潔な匂いのするハンサムな男だったけど!?

願わずとも叶う出会いのとき。そして望まずとも訪れてしまう別れのとき。
受けの太陽は、5歳の時に隣へ越してきた寡黙な流星を気にかけ、親友となります。周りに溶け込まない流星に高校生までずっと離れぬように沿ってきた太陽。
しかしそんな彼らにも分岐点が…。
この作品は一穂ミチ先生のエッセンスが凝縮されたBLです。
高校生らしい若さや純粋さだけでなく、嫉妬や独占欲もひっくるめて優しい目線で描かれています。
物語の最後の1ページを読み終わったとたん、その後の二人の情景が網膜に鮮明に写しだされるはずです。文字を追っているのに脳内には鮮烈な映像が浮かび上がる。これが一穂ミチ作品の最大の特徴といえます。けっして派手なお話ではないですが、心の中に温かいものを残してくれる作品です。流星と太陽、この2人の恋は至高！

  幼馴染、高校生、青春…このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)一穂ミチ・木下けい子/新書館

＜あらすじ＞
お姫様のような母親と一緒に太陽の前に現れた小さな王様――それが、流星だった。外国の血を引く繊細に整った容貌と、誇り高くまっすぐで、嘘やごまかしのない性格。そのせいで周囲から浮く彼をほうっておけず、いつだって側にいた。けれど、部活の合宿先で偶然会った流星は、太陽が知らない顔をしていて……。闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。

付き合う前が苦しいのはもちろんだけど、実は付き合ってから本当の苦しさが……
こんな状況、現実世界で少なくないですよね…。
受けの啓は10年経った今でも志方のことが好きでたまらない。そして自分のせいで彼を不幸にしたくないという思いから志方に別れを告げます。
10年も一緒にいて、いや逆に10年一緒にいるから相手に自分の本当の気持ち伝えづらくて…というケースはみなさんのまわりでも頻繁に起こっているのはないでしょうか。
この作品では、そのすれ違いを埋めていく様子がとても魅力的に書かれています。志方は志方で啓のことを本当に大事に思っていて人生に不可欠とまで思いこんでいるけれど、寡黙さが仇となりそれを伝えきれていなかったのです。想いが成就してからの、その先を描いたこの「好きで、好きで」はまさにタイトルどおり好きだからこそ、という気持ちが伝わってくる作品です。

  同居、べた惚れ、できる男…このワードにピンと来た方にオススメ！

(C)安西リカ・木下けい子/新書館

＜あらすじ＞
付き合って十年になる恋人の志方のことが、今でも好きでたまらない穂木。高校卒業間際、 親友だった志方に玉砕覚悟で告白した。思いがけず受け入れられ、それからずっとそばにいる。 けれど志方は将来有望なエリート銀行員、自分は一介の編集者。 実は外国研修の話を志方が断っていたことを知った穂木は、 自分が彼の出世を妨げているのではないかと悩み始め……？ 胸を打つ、センチメンタル・ラブストーリー。 

伝説の「タクミくんシリーズ」待望の第一弾作品がこの『そして春風にささやいて』です。「この作品が私の原点であり、バイブルです！ 」という方も多いのではないでしょうか？ ちなみに私の初BLノベルもこちらです。当時、次巻が出るまでの間待ちきれなくて何回もこの作品を読み返しました。今読んでも文章のいたるところから託生を見守る、優しいギイの眼差しが溢れ出ていてキュンキュンしっぱなしです。あぁ男子高校生たちの甘く切ない恋。
今後、ギイ×託生だけでなく様々なカップルが誕生するので、誰と誰が結ばれそうか予想しながら読むと楽しさも倍増しそうな予感。
BL小説熟練者も、入門者にもぜひ読んでいただきたい名著です。

スパダリ、男子高校生、寄宿舎もの、初恋…これらのワードにピンと来た方にオススメ！

(C)ごとうしのぶ・おおや和美/KADOKAWA

＜あらすじ＞
人里離れた全寮制男子高校、私立祠堂学院。否定され、無視され、諦めることで自分を守ってきた葉山託生に、ギイは愛することを教えてくれた。その人の過去も現在も、そして心も体も、全てを愛することを……。