島、開発会社からやって来たマック、地元で島と老舗のホテルに深い愛着をもつニコール。
土地やリゾートの雰囲気を絵がよく表していて、こんな島あったらいいな、的なところをよく出していると思う。
出会ったときから気に入ってしまい、立場を考えても
結局相手の魅力をかわすことが出来ない。ヒロインは彼が「敵」と判ってから躊躇も覚えるも、彼のほうは自分に素直に(直感的!)に行動する。そこは企みや謀など無くて、正面からの堂々アプローチがカラリとして感じがいい。他に敵が居た?、彼マックがニコールと関係進展から軸足を変えて、ホテルの抱えているトラブルの根本要因の調査に動き始めて、いよいよストーリーは佳境に。
人はいろいろ出てくるのだが決してストーリーが散漫にならず、それでいて同時になぜかお話の広げ上手なので、先が楽しみな気分で読ませ、最後迄島の素敵な空気をたっぷり吸い込めた感じだ。
巻末のおまけの4コマまでもがさりげな花を添えてくれている。
花津先生の人物の絵はいい意味で個性があるが、私には好みだったわけではなかったため、人物以外の絵にその分目が行くというより、いっそストーリーメインに評価してきていた。それが今回、花津先生の絵に魅力があった。風景など随所に描写の良さを感じられた。丁寧にいろいろな光景が描かれ、看板シーンも、外国のロードサイドに、大きく掲げられた物が突然現れる光景を想像させた。そこにそのフレーズでそう書かれてる、と納得させられた。
ありそうでなさそうなシーンだから、実はもの珍しさも強くて、そんなにありそうな話に陥らなかった。
セクシーシーンがそれほどでないのは構わない。
マックがセクシーに描かれていないのは、本作は健康的で寧ろいいかも知れない。
シリーズになっていると最新作情報で知って初めてこの作品を認識した。本書で三兄弟は抜群のチームプレーを見せてくれる。
他のマクグラス兄弟、コリンの話「消えない情熱」は大分前に読んだが、とてもよく覚えている。青春の甘酸っぱさ(手垢の付いた表現で、作品の持っていた瑞々しい感じを貶めてしまうが)を思い返すと、二人の大学時代の若さゆえの胸の苦しい恋が我が事のように迫る感傷を呼び起こした。
最新作は長男の話(「約束できない愛」)でまだ試し読みだけだったが、本作を読んだらとても楽しみになってきた。但し毛色が違うようなのだが。
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