三者三様で、みんな幸せになっていきます。
フランス、イタリア、イギリスと舞台もそれぞれ。
ロマンスは、女の子から見れば相手は王子様、そんな感じでしょう。HQ頻出のどこかの王国の王子はここにいません。
「ひと夏のシンデレラ」ー 事故が引
き裂いた愛。モチーフに用いられた物は、日常使い出来るような品物でありますが、だからといってそこまで長年の使用や毎度毎度髪を飾ることの可能性が、疑問ではあります。でも、十代で出会った二人が、幼い愛でも本当に好きだったのだという状況に萌えが。
「ナポリから来た恋人」ー "一緒にいる喜びを感じていたいから結婚する"。"幸せは愛する人と一緒にいること"。この主題がよく表されていて、一瞬で恋に落ち、素性もわからないまま二人で過ごし、次第に判明する周辺の事情。ヒロインの能力の高さを示すシーンのかっこよさと、それなのに人事とは、かくも不合理なものだ、というところに、変なリアリティがありました。その悔しさも共鳴できて、言いたいことをしっかり口にするヒロインのキャラが、小気味よくて、情実人事をおこなった課長たちを彼がスパッと処分するところにも、溜飲の下がる思いがして良かったです。
「誰も知らない結婚」ー このヒロインの逆境に対する頑張りは物語後半になるほどどんどん明らかにされます。幸せにならなきゃだめ、という気分にしかなれません。
彼女の魅力を彼が解る、事故でもなきゃわかり得なかったところが、奇しくも、同じように事故で大切な両親が亡くなったことと対照を成します。
彼の事故は当然どれ程ヒロインを驚かせ、またも身内の身になにかあったらー、という恐怖と不安に駈られただろう、ということが、シリーズでその他の家庭のケースから想像できます。しかし運命は、今度は事故によってヒロインを幸せにするきっかけを与えたのでした。
でも、結末に至るまでのヒロインの心情は、終始彼の記憶が戻った後の彼のリアクションへの覚悟があり、彼の記憶喪失中の無邪気な夫としての振る舞いに心が揺らされる数々のイベントに、もう、もう、読み手のこちらもヒロインに同化してしまいます。
三作とも単品では高い評価を得られなかったようですが、私は星合先生贔屓なのと、事故の被害者が全員幸せになるストーリーに満足です。飲酒運転の運転者、同乗者の、遺された子ども達という存在である、主人公被害者達の。
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