なかなか居ないタイプの女にはまって、何度も拒絶の目に遭いながらそれでも手に入れる男の話。
押し掛け婚約者が居座り、父を人質に取られている姫が、野に下り事態の打破を狙っているところで、彼との手荒な出逢いをする。
殆どの女が男のいうがま
まのような生き方を強いられていた古い時代の話。
ヒロインは武器を手にし、扱える。才長けて人を動かす難しさを知っており、先を見通す戦略眼を
持ち合わせる。
騎士の方も腕に覚えある、肉体はもちろんのこと、歴戦を戦ってきて敵に応じたやり方を採ることの出来る知将。
両人のその勇気と知性とは、このストーリーのメインキャラの二人の相手として互いにふさわしい。
ヒロインの行動力は鮮やかで見事。着飾ってきゃぁきゃぁというタイプでないカッコよさ。その代わり、殺されるか、殺されたくなされば殺すか、ということ。死と隣り合わせの状況で、綺麗事の通用する所に居られなかった。
強い男が認めた強い女として、ストーリーは彼女を気持ちよく活発に動かし、窮地に男に助けられるのでなく自力で立ち向かい、手加減無しの凄みがある。
さっぱりとして、女としてというより、人間として自立しているヒロイン。女にはそれが認められなかった時代に。結婚の受諾時も然り。
自分の道を失わずに一緒の道を歩けるかも知れない、とあとから考える。堂々と従順な妻にはなれないと宣言。羨ましくもあり、逞しさに圧倒される点でもある。
彼女はなんと、自分の要求を未来の夫に自分がこれまでのように過ごせるように、結婚後の生活について注文を付けるのだ。自分は戦士なのだからと。
また、この話の素敵なところは、話冒頭時点の彼とは思えぬほど、ヒロインの要求を全て快諾するのだ。
「強さ」対「強さ」型の男女の構図のラブ。
経験豊かではないヒロインの露骨な挑発的シーンが時々あるが、これも、かなり主体的で活発なヒロインのキャラを最後までブレなく見せた。読んでスッキリの作品。
ただし、デイ・バラのシリーズを他にも読んでいないと、兄弟とか領地とか、固有名詞の多さが大変なので、脚注を付けるなり、巻末に人物関係図を入れるなりの工夫が必要だったのではないだろうか。
注意する点として、この話は性的にヒロインはかなり大胆なため、その描写が強く実に多くあること。また、男性のマスターxxxxxのシーンが二巻目にある。電車内では開けない。
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