二人が幸せなのだからそれでいいではないか、と、私は割りきれず、ヒロインに辛く当たった連中が無傷なことがどこか悔しい。
寄ってたかって会社から追い出した彼女らが、まだのうのうと生きてる。悪い奴ほど高笑い、という現実が小骨となって読後感に影を
残す。追い出しただけで収まらず、また追い討ちをかけてくる悪質さにも、鉄槌は振り下ろされない。罰が当たるべきと思うのに。
HQは、実際にはあり得ない夢結末まで、安心の構成が身上。言われなき中傷と悪評とによって組織に踏み潰されたヒロインは、愛によって救えたと言えるのか?
もっとも、恋愛を視点の中心に置けば、それが無ければ出会いもドレスアップのエピソードもないわけだが。
意地悪な女も結婚出来る妙なリアリティーと、彼が用意してたドレスによる出来すぎリベンジは、物語の見所としての転換点の存在感があるが、同時に、この話を性格付けてしまった。
新しい職場環境は、独り上司が冷静に仕事ぶりを評価する事が出来る訳だから、恋愛外の要素で認められ、そしていつか恋愛スイッチが入っていて、という展開は手堅くて自然だった。
籠り勝ちになっていた彼を獅子に、これから明るく羽ばたけるヒロインを醜いアヒルの子に、邦題は人目を引く言葉が選ばれている分、ある意味ユニークだが、解釈に遊びがなくて、ストーリーの小骨とダブる。
掃除の大変な屋敷を、結局短期で出るのかと、余計なことも考えてしまった。
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