麗しい姉が影の主役。タイトル自体は設定通りでも、話の展開は姉が、イタリア南部の強く明るい陽射しの下に居る妹の魅力の、強力な引き立て役に回ってくれた。
そこが、涙が出るほど美しく、双子に生まれた二人の悲喜こもごも姉妹愛。引き際の彼女の感
情描写が、このストーリーを陳腐に仕立て上げなかった。好みが似るということは、両人が近ければ当然に有り得ること。姉の、妹の、互いに対する両極のポジションへの感情が、どちらか一方の善し悪しで片付けることで単純に済まされない、深い物語性を形作った。
イタリア一番の王子様、そこはHQ的に譲れない。このストーリーは、彼の心情も丁寧に描きラブストーリーの要はきっちり盛り上げてくれている。しかし、どの本も同じ最終数頁に堕する金太郎飴的結婚式シーンについては、避けて欲しいので、ドレスのくだりまでで良かったのに、と思う。
日蔭の存在は一体どちらなのか。妹はこのストーリーの中で、リニの前で眩しい輝きを放っている。タイトルは何を言いたかったのか、姉妹愛はうわべのものではない。本気でどちらも彼の事を好きになったのだから。
ヒロインの躊躇を前にして、ひるんだ彼への、背中を押す言葉も真理を衝いて、このストーリーは味わいがある。
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