「女でも殺す」とは随分失礼な物云いである。「そりゃ女だって殺すわい!」と田嶋先生に怒られるやも知れぬ。しかし、古代に遡れば、殺人などという野蛮な行為は男の専売特許だったのだ。女が殺人に手を染めるようになったのは、戦乱が落ち着き始めた18世紀になってからだ。そして、社会が安定するに連れて、男勝りの女性殺人者が続々と現れたのである。本書ではその様を歴史に沿って紹介する。次第に過激に、大胆に、且つ不条理になって行く様を御覧頂きたい。財産目的の毒殺魔に始まり、子殺しを経て、遂には女性の大量殺人犯、連続殺人犯の誕生を迎える。かくして男女平等は実現したのである(阿部定ほか特別書き下ろし5件)