日本の葦嶽山(広島県)を太古のピラミッドだと調査後に断定した、明治~昭和初期のキリスト教伝道者、日ユ同祖論者、オカルティスト、酒井勝軍(かつとき)の代表作。本書は、酒井勝軍著『太古日本のピラミッド』の復刻新訂版である。底本は、國教宣明團から昭和9(1934)年7月25日に発行された『発見者 酒井勝軍著 太古日本のピラミッド』(国会図書館所蔵:保護機関満了)。編集者が必要と判断した部分は字句のあらため、旧かな・旧漢字を現代表記にあらためるなど、用字用語の書き換えを行い、新訂にあたり、底本にはない章立て、見出しや底本初版当時の時代や著者の著作背景についての解説を加え(序章)、資料として最新の広島県にある日本のピラミッド、葦嶽山の現在の状況をカラー写真で紹介するとともに、庄原市観光課による詳細な登山・ハイキングガイドを掲載。知玄舎の「異界見聞録」シリーズ11冊目。著者、酒井勝軍が生きて活躍したのは、明治初期から大正、昭和の大東亜戦争開戦前年。古史古伝で有名な『竹内文書』による皇国史観の立場から、日本の天皇存在とエジプトのギザ・ピラミッド等の神殿に深い関係性を見出してきた著者が、日本に、太古から存在していた神殿、ピラミッドを発見したプロセスを著したのが本書の底本。はたしてその酒井が発見したピラミッドとは、広島県庄原地区の葦嶽山(海抜815m)。独自の皇国史観に基づく表現は、満州事変等で戦争への機運が高まる時代の偏りから、特別高等警察に押収され、酒井自身も拘束の憂き目に遇うなどの弾圧を受けた、問題の書でもある。