完全訳ではなく、抄訳なのが、星をひとつ引いた理由です。和歌の部分とかいろいろ省略されているので、物語の良さを存分に味わいたい方は、こちらだけではなく完全な原文や訳文をお読みいただけると嬉しいです。
昔話の『かぐや姫』としてすっかり日本人に浸透している物語ですが、本来の『竹取物語』はもう一歩踏み込んだ「創作小説」であるととらえています。
今はどうだかわかりませんが、自分が学生の頃には『源氏物語』に比較して『竹取物語』の扱いはかなり低かったように思います。しかし、私にとってはこの『竹取物語』こそが日本の古典文学の最高峰。すっきりとまとまった短い物語の中に、親子の情愛、人の愚かさ、そして悲恋、これらをファンタジー要素がある枠組みに入れ込んである贅沢仕様。語源説話的要素もお楽しみとして盛り込まれている。素晴らしい!
近年アニメ映画になったことで、『竹取物語』の登場人物としての「帝」が不当に貶められた感があるのですが、本来の「帝」は、かぐや姫と何年も細やかに文を交わし、別れの際にもかぐや姫から不死薬を贈られるほどの存在です。両想いでも結ばれない悲恋の二人で、「帝」はかぐや姫のいなくなった世では意味がないと不死薬を燃やすほどに一途な純愛なわけですよ。
あの歪められた「帝」像はあくまでメディア化による改変であることを、本来の「帝」は一途な、おとぎばなしの王子様的存在であることを、皆々様にはわかっていていただきたい。
あと、子供の頃に、富士山は「死火山」だと習った世代なんですけど……『竹取物語』読んだだけでも当時活動してたんだなって予測がつくのに、どうしてあの頃には「死火山」認定してしまったのか……と。謎です。