1941年5月、実業之日本社から発行された『東京八景』は、太宰に注文が舞い込むようになった1940年以降の短編小説を軸に「HUMANLOST」(単行本初収録)と「ロマネスク」(再録)を収めたものです。太宰はこの機会にHUMANLOSTを大幅削除し書きなおしていますが、ITmedia 名作文庫では雑誌「新潮」(1937年4月号)初出のものを収録しました。それ以外は上記初刊本を底本に、巻頭に解説「蚕に食われた桑の葉のような東京市」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。
目次:
東京八景
HUMANLOST
きりぎりす
短篇集
その一 一灯
そのニ 失敗園
その三 リイズ
盲人独笑
ロマネスク
乞食学生
あとがき
著者・解説者紹介
著者について:
1909年6月、青森県北津軽郡金木村(現五所川原市)生まれ。本名、津島修治。東京帝国大学仏文科中退。1935年「逆行」が第一回芥川賞候補になる。1936年第一創作集『晩年』刊行。以後、「女生徒」「斜陽」「人間失格」等著作多数。1948年6月没。