あるところに、時計の国がありました。時計の国には、時計のおうさまが住んでいます。おうさまの顔には、針が2本ついていて、チ、チ、チ、チ……と動いています。おうさまの時計は、いつも正確に時間をきざみ、国中の時計はすべて、その時計のとおりに進みます。朝、おうさまの時計の針が6時をさすと、王冠の中から時計鳩が飛び出し、「ぽぽぽー! 6時だよ! 朝だよ! 体操の時間だよー!」とさけびます。すると、国中の人たちが一斉に朝の体操をはじめます。7時は朝ごはんの時間、10時は散歩の時間、2時は運動の時間。時計の国では、時間がなによりも大事。時間を守らないものは牢屋に入れられました。ところがある日、のんびりやのおうさまは時間にしばられることがいやになり、時計の針をかくしてしまうことに! 時間のなくなった時計の国は、一体どうなってしまうでしょうか? 色彩豊かな世界の中で、時間について楽しく学ぶこともできる一冊です。