歌人として有名だった岡本かの子の最初の小説集『鶴は病みき』(1936)の電子復刊です。表題作のほか、「渾沌未分」「敵(戯曲)」「豆腐買い」等、9編の短編を収録。信正社による初刊本を底本とし、伏せ字は実業之日本社版の「岡本かの子全集」を参照して補いました。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り、読みやすくしています。巻末付録として、十返肇による作家論「岡本かの子論」を収録しました。
目次:
渾沌未分
上田秋成の晩年
ドーヴィル物語
莊子
百喩経
敵(戯曲)
豆腐買い
ガルスワーシーの家
鶴は病みき
岡本かの子論 十返肇
著者について:
1889年3月東京都港区青山南町生まれ。跡見女学校卒業後、漫画家岡本一平と結婚し、後に芸術家となる岡本太郎が生まれる(その後、長女と次男は死去)。歌人としての活動は女学校時代の投稿から始まっているが、小説家としての本格的な活動は晩年の4年弱である。『鶴は病みき』(信正社)、『夏の夜の夢』(版画荘)、『母子叙情』(創元社)、『老妓抄』(中央公論社)、『生々流転』(改造社)等。1939年2月没。