今回も初めての作家さんですが、当たりでした。少ないけれど丁寧な作業で伏線が張られていて読みやすかったです。詐欺師という特殊な職業(?)といえど専門に走りすぎず、かと言って薄っぺらくもない…加減が心地良く、一気に楽しんで読めました。作中で詐欺
師の心得みたいな内容がいくつかあって、その中の一つに「上手な嘘のつき方」があります。「全部を嘘で固めるよりも、程よく真実を混ぜる」という手法ですが、これって女性なら自然に会得しているものだと思っていました。少なくとも私は、誰に教わるでもなくいつ頃からやってましたね。誰しも詐欺師の素養があるのかも?そんな事を考えながら読んでも楽しかったです。正直、私は里見が思うほど宇崎の過去には同情していなくて、むしろイイ男になる為の素になってて良いのでは?くらいに思ってます。一方で里見の過去にはめいっぱい同情してしまいます。5歳であの出来事はトラウマレベルだと可哀想になりました。でもまぁ5歳のその出来事から全ては始まったと言えなくもない…悲しいけれど、それがあったからこその今なのだと思うと、ラストのクリスマスシーンにはホッとしました。
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