日本の神話の最も深い所にあるのは火山の記憶だとする亡命ロシア人ワノフスキーの古事記論を紹介、あわせてワノフスキーの伝記、専門家による解説を掲載している。
二〇一七年三月、本書の編著者である蒲池明弘(桃山堂代表)によって、続編的な内容をもつ文春新書『火山で読み解く古事記の謎』(文藝春秋社)が刊行。
ワノフスキーはロシアで革命運動に従事していたが、運動から離脱して日本に亡命。戦前の早稲田大学でロシア語、ロシア文学を教えていた。戦後まもなく刊行された『火山と太陽 古事記神話の新解釈』は、古事記を火山神話として読み解いた画期的な論考として、評価を高めつつある。
ワノフスキーは、女神イザナミを日本列島の火山的な生産力の表象として読み解いた。スサノオの荒ぶるふるまいを、火山噴火が神話化したものだと解釈している。