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薬理学とは、薬とからだの相互作用を研究し、一方ではからだの働きのからくりをとき明かし、一方では正しい薬の使い方を問いつめる学問であるが、従来は、ともすれば前者のみが強調されがちだった。薬の学問を、よりよい方向にむきなおらせるには、現在の専門家に働きかけることもさることながら、これからの医学を背負う若い人々や、医学の恩恵をうけるはずの一般の人々に働きかけることが大切であると考えて、本書をまとめた。
最後の数篇は、薬の学問のなかに、計量性をもっと積極的にとり入れることを強調したいために、少々無理をして加えたものである。この部分は、ひろい読みにでも読んでいただければ幸いであり、見かけほどむずかしいことはないはずである。(「まえがき」より)
目次
まえがき
I くすりとからだ
薬の用量―過ぎたるは及ばざるがごとし/薬の併用―薬にも相性がある。/薬の連用―むだなばかりか、ケガのもと/薬の代謝―からだも薬に働きかける。/薬と宣伝―安宣伝に飲まれるな。/薬と心理―イワシのあたまも信心から/(以下略)
Ⅱ 病気とくすり
治癒力のたすけ―薬に対する心構え /求め方、えらび方―薬屋のまえで深呼吸/薬の名前―ジュゲムジュゲム/総合感冒薬―帽子が二つに見えるまで /治療と予防―チフスのマリーをつまみ出せ/(以下略)
Ⅲ くすりの病気
統一困難な乱用対策―社会の病気をふせぐには/タバコと梅毒―コロンプスの二つのおみやげ/ヒョルトンの処方―こな薬の街の物語り/やせ薬―肥満に勝つには、おのれに勝て/(以下略)
Ⅳ からだのしくみ
ビタミン―グリース・アップの注意事項 /酵素―夫婦善哉論めおとぜんざいろん /ホルモンと伝達物質―からだはしゃべる/(以下略)
Ⅴ くすりのライフ・サイクル
薬とリスクー薬の命はみしかくて/研究費―視野がちがえば予算もちがう/広告―あなたは、おかされています/プロパガンジスト―現代忍者の生態/カンフル注射― 大往生の小道具/(以下略)
Ⅵ くすりの評価
アラビア医学の知恵―ライオンはフイオン、ヒトはヒト/プラシーボー―気の持ちようで薬はきく/二重盲検法―ウィスキーのラベルに酔う/心臓血管病薬―国がちがえば評価もちがう /ニュルンベルグの一〇カ条―生を知るには死を知る必要がある/サリドマイド―文明国の非文明立法 /(以下略)
Ⅶ ききめの科学
統計学の必要性―随筆と科学論文のちがい/生物検定法―人間もハカリである/二つの失敗―過大評価と過小評価/第一種の誤リ―αWATE者のいいすぎ/第二種の誤― βONYARI者の見逃し/(以下略)
あとがき
索引