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先日のきみからのお手紙は、まるでそのことを見抜いたうえでのご注文のようですね。留学後半年すぎて研究もすすみ、いろいろとわかってきただろうから、これからあと、できたらその成果をすこしずつでいいから教えてくれないか、自分もデンマークの経済とか農業には大いに興味をもっているし、とりわけその農業国。酪農王国としての繁栄の歴史や、また今日の世界的激動の時代に、そこでの農業問題といったものが、いったいどうなっているか、日本と比較するうえでもはなはだ興味津々たるものがある、ということでしたね。じつは、ぼく自身も同じような気持で、畜産・酪農や農業協同組合運動などで、早くから著名なこの国をえらんで、都市化・工業化のすすむなかでの今日の農業問題や、社会経済の諸問題を勉強して、日本農業を考えるうえでの参考にしようというつもりでやってきたのです。／近況報告がわりに感想ていどのことでも書いてくれればそれでいいということでしたので、それならあまり気ばらずに、いままでどおりの普通の手紙を書くつもりで、勉強したことをそのつどそのつど、多少整理してお知らせしてみようかと決心した次第です。
（はしがき――>―年若い友人への手紙――」より）
目次
はしがき ――年若い友人への手紙――
１ 封建制からの脱却 １８～１９世紀の発展
第１信 デンマークの農業／第２信 農民解放記念碑／第３信 耕地の集団化――農場制の形成――／第４信 「人間解放」と「自由平等」
２ ゆたかな農業国 ２０世紀への躍進／第５信 〝外にて失いしものを内にて取り戻さん〟――敗戦と国土開発――／第６信 酪農王国の建設／第７信 繁栄の上台――小農創設維持――／第８信 国民高等学校と農民教育／第９信 資本によらず人格の結合で――農業協同組合――
第１０信 農民と農民組織／第１１信 農業立国の完成――「乳と蜜の流れるさと」――
３ 戦後の激動 内憂と外患
第１２信 ヨーロッパの荒廃とデンマーク／第１３信 ＥＥＣとＥＦＴＡ――輸出市場の逼塞――／第１４信 農業専門化の動き―― 一九六〇年代の急変――／第１５信 新たな農業問題の発生
４ 変現する「乳と蜜の流れるさと」明日への苦悩
第１６信 都市化・工業化の進行／第１７信 都市へ流れる農村労働力／第１８信 過小農対策の展望――農業構造問題――／第１９信 若い農民のなやみ――農業金融制度――／第２０信 転換する農業政策／第２１信 価格政策と所得政策／第２２信 明日への苦悩
あとがき ――ふたたび年若い友人へ――
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