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本書は大学・学生の問題を国際比較の視点から扱ったものである。ここに収めたのは、大学・学生問題にかんして、私が最近数年来考察してきた結果であり、新たに書き下した論文と各種の雑誌に発表した論文とから成っている。本書では、現代の大学危機とこれに対する学生運動との関係という点に力点をおき、地域的にはアメリカとアジアにしぼって考察している。この書物が高等教育に関連する諸問題を検討するうえに、いささかなりとより広い視点を日本の読者に提供できるならば、本書の意図は達せられたというべきである。(「著者まえがき」より)
この書物は、アメリカの新鋭学生運動研究者である Philip G. Altbach の著作のなかから、日本の読者向けに八編の論文を選び、編集・訳出したものである。
本書に収録したのは、著者・編集者・訳者の協議のうえで選ばれたものである。選定にあたっては、先進社会と発展途上諸国の比較を念頭に入れるとともに、できるだけ日本の読者に直接参考となり、しかもわが国における研究が乏しい分野を補うものとなるよう考慮した。(「訳者あとがき」より)
目次
著者まえがき
序章 世界の大学危機と日本
大学危機の根源/大学自治と社会的要請のバランス/ マルティバーシティ/困難な大学改革/学生運動の限界/日本の大学危機
第一部 先進工業諸国の学生運動
Ⅰ 「学生運動」研究の課題――アメリカにおける文献を中心に――
学生運動の問題点/研究の歴史/アメリカ学生運動の研究動向/結論
Ⅱ アメリカ学生運動の歴史――パークレイ以前――
一九一〇年代まで/ 一九二〇年代/ 一九二〇年代/第二次大戦後/新左翼の出現/結論
Ⅲ 大学院学生の現状――組織化する助手たち――
忘れられた存在/二重性格/大学院学生の下位文化/組織化する助手たち
第二部 発展途上諸国の学生運動
Ⅳ アジア学生運動の歴史――その変遷と特質――
アジア学生運動の発展/民族解放運動と学生/学生運動の方向転換/結論
V 新植民地主義と教育――先進国の文化・教育支配――
新植民地主義とは何か/旧植民地主義の遺産/教育・技術援助計画がもたらすもの/研究援助の問題点/知識。文化への植民地支配/結論
Ⅵ インドの高等教育と学生運動――終わりなき大学危機――
高等教育と学生の政治活動/学生運動と独立闘争/学生の変質化/独立以後の高等教育/学生の不規律
終章 国際学生運動――歴史的展望――
国際学生〝運動〟は存在したか/歴史的背景/国際学生運動と冷戦/国際学生組織の構造と活動/あとがき
訳者あとがき