※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
経済学は、その理論が何に役立つものとせられるかによって、その性格をあらわすものである。マルクス経済学は、もちろん私の理解するかざりのことであるが、資本主義の経済機構を解明するものである。マルクス主義は、この解明を基礎にして資本主義の社会主義への変革の運動をなすわけであるが、社会主義の経済組織まではこれによって直ちに与えられるのではない。これに対して関根君の専攻する近代経済学は資本主義ばかりでなく、社会主義経済にも通ずる理論をもって、その建設にも役立つものと考えられているようである。そこで私たちの対談は、期せずして此の点を繰り返えし論議することになった。それはマルクス経済学と近代経済学との興味ある対照を示すものといってよい。日高君との対談はまた、われわれが大学でマルクス経済学を講義する意義は何であるかということを、その主題とすることになった。もちろん、近代経済学はともかく、マルクス経済学についてはわれわれと同じようには考えない人も少なくない。殊に常識的にはむしろそれが普通であるが、しかしこの点が明確になっていないと、科学的社会主義としてのマルクス主義は、経済学を利用しえないこととなるのではないかと、私は考えている。(「序」より)
目次
経済学と社会主義経済―― マルクス経済学と近代経済学――……聞きて・関根友彦
はじめに
Ⅰ 経済学と経済生活経港
一 問題提起
二 経済学の対象と方法
Ⅱ 原理論の問題
一 資本主義の三大法則
二 労働過程と価格形成
三 商品、貨幣、資本
Ⅲ 帝国主義・唯物史観・実践
一 帝国主義
二 唯物史観
三 実 践
最近の大学、学生問題、その他……聞き手・日高 晋
一 管理できない管理通貨制の矛盾
二 学問とは何か
三 「お祭り」では変革できない
四 学生は潜勢力を養え
五 社会主義運動の核心を考えよ
六 科学とイデオロギーの分れ目
七 学生運動のなかの「宇野理論」
八 『経済原論』を書き直す