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この書は、ケルゼン追悼の意味をもった出版である。寄稿をお願いした長老現役多数の学者が、ただ一人の例外もなく、しかも短い指定期間内に、生き生きとした素晴しい原稿をお寄せ頂いたことは、ケルゼンの思想が、何らかの意味で、これらの学者の思考形成に刺戟を与え、また新進の学者はクルゼンを素通りしては自家の国家や法の理論を構築できないと確信しているということを示すものだと考えると、まことに感銘深い。
この本はかなリユニークなものだと自負している。寄稿家に日本におけるケルゼン研究の始祖というか、第一人者を網羅しているばかりでなく、ケルゼン理論の重要な意味をとことんまで追求分析して、法と国家の新しい認識を確立しようと努力している中堅新進の学者の協力を得たことは、編者の一人として感謝に堪えない。(「はしがき」より)
目次
はしがき
I 二〇世紀法思想におけるケルゼン
1 純粋法学……鵜飼信成
2 イデオロギー批判者としてのケルゼン……碧海純一
3 民主制論……長尾龍一
4 憲法――議会制論……樋口陽一
5 ケルゼン理論と現代国際法学……筒井若水
6 日本におけるケルゼン――イデオロギー批判の方法を中心として――……原 秀男
Ⅱ ケルゼンと私
ケルゼンの「純粋法学」について……浅井 清
アメリカのケルゼン……鵜飼信成
ケルゼンにおける理論と実践……尾吹善人
ケルゼンとシュミットとの間で……菅野喜入郎
ケルゼン――鋭利な学説と温和な人柄……清官四郎
私の〝中〟のケルゼン……黒田 覚
浪人生活の所産――「デモクラシーの本質と価値」――……西島芳二
ケルゼン教授の訃に接して……宮沢俊義
一行政法学者のみたケルゼン……柳瀬良幹
ケルゼンとわたくし……横田喜三郎
Ⅲ 人と学説
1 小伝……長尾龍一
2 翻訳
(a) 純粋法学とは何か……ハンス・ケルゼン/桑田寬二訳
(b) 民主制の擁護(一九一二一年)……ハンス・ケルゼン/長尾龍一
(c) 憲法起草者としてのハンス・ケルゼン ケルゼン五〇歳の誕生日(一九二一年一〇月一一日)に寄せて……アドルフ・メルクル/長尾龍一・新 正幸訳
参考文献(邦語・邦訳)
あとがき